巡礼の仏様のお話です 大きな台風が熊本を直撃して去って行きました。真言寺・真言尼寺では大きな樹が倒れましたが、被害はおおむねその樹だけでした。樹がお堂を守ってくれました。
ご心配頂き誠に有難うございました。
真言寺・真言尼寺が提唱する巡礼道の最後の仏様「薬師仏」の御場所を何とか設定する
ことができましたので、ここに御礼のご報告と仏様の説明をいたします。

まず真言寺の大日如来の御前にお座り下さい。
「この仏様は大宇宙の真理を表していると同時に自分がもつ仏の姿を現している。」とお考え下さい。つまり「自分自身なのだ」と観じ、香を焚いて静かに「アビラウンケンバザラダトバン」と真言をお唱え下さい。


次に曼荼羅の前にお座り下さい。
遠い昔インドに誕生されたお釈迦様が「法」をお説きになったのだと認識して、掛けられている「両部曼荼羅」をご覧下さい。これが時代を経て「象徴として表された釈尊の法」です。もしもキリスト教やイスラム教を信じておられる方で「とても興味がある」と感じられたら、「大悲胎蔵生曼荼羅」の十三大院を数えられて、その中の「遍智院」をご覧ください。
中央に「火炎を放つ三角形」があります。これは「智慧の目」です。中に「卍」が描かれていますが、これは「大空に回転し光を放つもの」の象徴で「大日如来の智慧の火」を現しています。
それぞれの智慧を得、悟り、人々に教えを「授けた」聖者たちが、ここに連なると考えられているのです。そこが時代を超えて「悟り」と「教え」を与え続ける象徴の場所です。
曼荼羅は総てを包括しています。
静かに香を焚き、礼拝して下さい。総ての祖師がそこに在るのです。

次に不動明王の前にお座り下さい。
不動明王は「大悲胎蔵生曼荼羅」の「持明院」におられます。中台八葉院のすぐ傍で、「明」つまり「真言」「聖なる言葉」を持する事が必要である事を教えています。
持明院の中央は「般若菩薩」ですが、女神です。そこが「阿闍梨」の場所です。ですから悟りを得る場所なのです。この意味を取り違えて後世、様々な説が出てきますが、今はただ、あなたの命を守って「不動明王が導いて下さる」と考えて下さい。

次に杖を執り表に出て下さい。
祖師堂の弘法大師様に挨拶して下さい。日本に伝え、今に伝えて千年も経ちます。
さあ、お唱えしましょう。「六根清浄」「南無大師遍照金剛」
六根とは「人間の構成要素で眼、耳、鼻、舌、身、意」を言います。
それを清浄とすることが修行の始めの眼目となります。

五番目に千手観音堂に立ち寄って下さい。千の手を持つなんて、怖いですか?
これは仏の働きを意味しています。「今のあなたの一歩が、千の仏の働きとなりますよ。」と教えてくれます。

六番目に観音堂にお参りして下さい。裏に聖天堂がありますが、秘仏のため見ることはできません。しかしその前の観音堂に「聖天さま」の御働きを開いたかたちが提示されています。「お前立ち」として、中央に「聖観音」と「不動明王」「愛染明王」の三尊仏になっています。
そうです、高野山の奥の院と同じ明王様をお前立としています。
聖天様の秘密の扉を開くと、貴方の生まれた秘密を教え、死の秘密を語るのです。ですからここでもう一度、生きている意味を確認して下さい。

五番、六番の観音様は貴方の「通る道」「帰る道」を示して下さいます。

七番目に薬師堂に立ち寄って下さい。実質の医療活動をするためにクリニックのような構造になっていますが、日光・月光菩薩を従えて薬師如来が座しておられます。ここで真言寺住職ともども祈り続けています。もちろん副住職の医療相談もはじまりました。

そのまま、真言寺の本堂に帰ってみてください。そして不動明王の右側を見て下さい。そこに、薬師仏が黙って立っておられるのに気づかれるでしょう。今は副住職がお守りしています。
薬師如来は日本仏教の始め「国分寺」の本尊であったことが知られています。「薬師瑠璃光如来」といって「瑠璃」の光の色は仏の智慧に喩えられます。インド・中国・日本と伝わり、特にチベットでは「医学」と緊密に結びついています。薬師の浄土は東方にあり、東は「登る太陽を拝んで来る青空を観る」浄土でありましょう。

「薬師如来本願功徳経」の十二大願の第七願に「衆患悉除」があります。病気になり、救う人も、頼りになる人もなく、医者も薬もなく、親族も家もなく、貧しく苦しい生活であっても救われ、やがては悟りを得られるようにとの誓願です。

巡礼することによって「世界の平和」と「自分自身の幸福」が密接につながっており、今生き抜き、今「祈る」ことが、すべての世界の人々の未来ために祈っていると気づかれるでしょう。
どうぞ足の痛くて歩けないかたは、薬師堂だけでもお参りください。
今まだ中はガランとしていますが、中の機材がいつか揃えば、足の痛みを手当てすることができる日が来るでしょう。
そうです、痛みを抱えるあなたのために万全を尽くして努力しています。