人は燃え盛る火の中を逃げ惑うかのごとき人生を送る。不確かさとわずかな希望と深い絶望の中で日々を過ごす。
この身は孤独と絶望と満たされぬ思いの源。この身の重き事、身を支えるに足を踏ん張り歯を食い縛り、人生の細き道を歩く。
生の終わりにその死が来るまで、眼暗く光を見ず、耳遠く真理の声は届かず、その手に握り締めるものは砂の如く崩れ去る。
ひもじさに己の善業の種を食い尽くし、善業の果報を受けることすらない。
禽獣の如く欲情に任せて食い漁り、慚愧の心を忘れて吠えかかかる。
罠を仕掛けては獲物を捕らえその果報の赴くところを悟らず。
己の幸福の何たるかを思う心は芽を出さず、ただただ目の前の苦楽だけを思う。
己の楽のために人を陥れ、命を傷つけ、果報の回りに思い至らず。
心暗きものに世界は暗く、眼を閉じたるものはその道は見えず、
耳を塞ぐ者は声を聴かず、喉を塞ぐ者は甘露水を飲まず。
哀れなるかな、無明の輩。
己の欲情をしばし離れよ、仏陀の声を聴け、真理を見よ、
深き眠りから目覚めよ、いや眠りにある己に思いを巡らせ。
大地に撒かれた一粒の麦のように思いを起せよ、我はこれより仏に帰依しようと。