親であることの難しさと尊さ

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 日々の臨床場面で出会う親御さんはその殆どが、子ども時代、多くはその親との関係の中で様々な満たされぬ思いを抱いた体験を持っておられると感じます。親にしてもらったことがないことを、自分が親になったときに子どもにすることは、とても難しいことだと思います。「自分が味わった思いを子どもにはさせたくない。」と、その難しい課題に果敢に取り組もうとされている姿は尊く、心の中で手を合わせます。

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携帯電話と家族構造の変化

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  小学生が携帯電話を持っているのも珍しくない時代になってしまいました。若年層が携帯電話を持つことの問題点について,「犯罪に巻き込まれる危険性」や「有害情報に接する機会が増える危険性」がよく指摘されています。これらも非常に大変な問題です。しかし,「携帯電話が家族の機能にどういう影響を与えるか」という視点からその危険性が指摘されることは少ないようです。今回はそのことについて考えてみたいと思います。

 中高校生で,ひまさえあればメールの送受信をしている,という生徒がけっこういます。そういう生徒に話を聞くと「携帯を持っていないとすごく不安でたまらない」といいます。いわゆる「メール依存」の状態といっていいでしょうか。これが大人であれば,そういう状態に陥ることはあまりありません。青年期は「家族外の人間関係を構築し,それによって社会性を発達させる」という発達上の課題があり,自然に「家族外の人と交流したい」という欲求が生じるからだと思います。

 一昔前の青年期には,せいぜい固定電話くらいしかなく,いったん家に帰ってしまうと,そう簡単に友達に連絡はとれませんでした。それに比べると今は「連絡を取りたい」と思ったらすぐにメールで連絡がとれてしまいます。今の若者の中では「友達は常につながっているもの」という感覚になっているのではないでしょうか。40代以上の年代にはちょっとその感覚は理解できにくいと思います。

 では,「常に友達とつながっている」という状態は,青年期の子どもたちの発達にとって望ましい状態なのでしょうか?

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不登校は病気か?

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 不登校状態になっている子どもは体調不良や睡眠の乱れ、漠然とした不安感などを訴えることが多いものです。体調不良の代表的な症状は「頭痛」「腹痛」「吐き気」「めまい」「寝つけない」などです。そういう状態が続く場合、たいてい保護者がまず病院に連れていくことになります。検査によって身体的なものが主原因の病気であることがはっきりすることもありますので、子どもが身体症状を訴える場合には、まず病院でちゃんとした検査を受けることをお勧めしたいと思います。

 検査で身体的なものについて異常が発見されない場合、病院からの診断でよく目にするのは「自律神経失調」「過敏性腸症候群」「適応障害」「不安障害」「睡眠障害」「抑うつ状態」などです。 たまに「うつ病」や「統合失調症」との診断がなされることもありますが、それらの診断は不登校の子どもの全体からするとそれほど多くの割合にはならないだろうと思います。

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