生活の基礎訓練を見直そう(2)

 生活を支える基礎能力の訓練が十分なされなくなっている要因がもう一つあると思われます。それは,この訓練を子どもに課すことは,親にとっても大変な気力・体力・能力を必要とすることだからです。社会全体のストレス増大,労働時間の長時間化,核家族化による保護者世代の資源不足などにより親世代の“ゆとり”はなくなってきています。必要だとわかっていても,子どもに向き合い,訓練を行う気力が生じないということは確かにあるだろうと思います。

 しかし,だからと言って子どもの訓練をおろそかにしてしまえば,その子が将来多大な苦労を背負うことになることは明白です。ですから,限られた中からでも,子どもに向き合うための時間・労力を何とかねん出する工夫が必要だと思います。核家族内だけでは難しい場合には,祖父母世代の支援を要請するとか,ワークライフバランスの見直しを行うなどです。

 実際に訓練を行う場合に重要なことは,「本人にやらせる」ことです。しかし,子どもは要領がよくわかりません。その場合には「やり方を教える」必要があります。親がやって見せることも必要になるでしょう。その上で本人自身にやらせます。当然ながら最初からうまくできるはずはありません。できなかったときは,「なぜできなかったのか」を一緒に考え,「改善策を話し合い」ます。もちろん成功したときはしっかり「ほめ」て強化してあげる必要があるでしょう。

 そして最も重要なことは親がそばにいて「見守っている」ことです。人は誰か「自分を気にかけ見守ってくれいている人」が存在することで,初めて安心し物事に取り組む勇気と気力を生じることができるものです。

 「いつも口をすっぱくして言っているのですがちっともできないんです」というのは,私も含めて親が子どものことに対してよく口にする愚痴だと思います。しかし,うまくいかないのにはたいてい理由があります。「きちんとしなさい」というだけでやり方を教えてあげていない場合,最初に「こうやるんだよ」と伝えてはいるけれど結果について話し合ったりする機会が持てていない,などです。結局日常的な「見守り」が十分できていないことが最も大きな背景になると思われます。